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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第18章 おかえりなさい





名家・赤司家。

征十郎はその家の長男として生まれた。

由緒正しい家柄ゆえに家訓も厳しく、人の上に立ち、勝つことを義務付けられた。

父はこの上なく厳格な人物だった。


物心がつく頃には英才教育が始められ、その量は大人でも音をあげるでろうもので、彼に自由はほとんどなかった。

そんな過酷な幼少期を彼が耐え抜く支えとなったのは、優しい母と母が父を説得し作られたわずかな自由時間に始めたバスケットボールだった。

彼にとってバスケットボールをしている時間は何より楽しく、才能にも恵まれ、限られた時間でもすぐに上達した。



だが、彼が小学五年生になったある日。

彼の大きな支えであった母が病で急死する。

その後の父は、それを忘れようとするかのように厳しさが増し、習い事や勉強の量も増えていく。


彼にとって不幸だったのは、そのことより、それを全てこなせてしまうほどの器量を持ってしまっていたことだった。

こなせばこなすほど量は増し、教育は加速していった。



そして、この頃から彼は不思議な感覚を持つようになる。


学校に行っている時の自分と、家にいる時の自分が、何か違う。

自分がもう一人いるような感覚。

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