第18章 おかえりなさい

『Ｔ・Ｏ終了です』


試合再開。

征十郎はこれまでのワンマンプレイを止め、レオ姉にパスを出した。

だが、それはもう酷いもので、レオ姉の３Ｐシュートはリズムが悪く外れる。

そのリバウンドをとったのは木吉さんで、誠凛の反撃。

ここでも、これまでならば誰よりも速く戻っていたであろう征十郎の戻りは遅く、コタちゃんの表情も険しくなる。

その後も、誠凛にスティールを奪われるなどして、とうとう点差は２点…１ゴール差までに縮まってしまった。


「っざけんな！んだ今の小学生でもとれるたりーパスはよ！！ここにきてんな体たらくが通用するとで思ってんのか！？いい加減にしろよ、赤司テメェ！！」

「永ちゃん！やめてっ！！」


怒りのボルテージが頂点に達した永ちゃんは、征十郎の胸倉をつかみ怒鳴り付ける。

その様子に、私は思わず立ち上がり悲鳴に近い声で叫んだ。


「…藍川座りなさい、Ｔ・Ｏだ」

「……っ」


監督が静かに私に告げると同時に、洛山のＴ・Ｏがコールされた。

それを聞いた永ちゃんは、征十郎を離し、不機嫌な顔のままベンチへ戻ってきた。

レオ姉、コタちゃんも同様だ。