第18章 おかえりなさい
「うわぁあ…決まったー!!アリウープだ!!」
「そしてついに火神が…やったっ、赤司を吹っ飛ばしたぁー!!」
ギャラリーからの歓声は今日一番のもの。
それと同時に盛り上がる誠凛に対して、洛山は呆然とするしかなかった。
「なっ…」
「嘘…でしょ…」
「…せ、じゅ…ろ…」
あの……あの征十郎が負けた…?
今征十郎は点を取ろうとしてとれず、止めようとして止められなかった。
この事態に一番動揺しているのは、まぎれもなく征十郎本人。
それが影響してか、シュートは外れ、ブロックされ、スティールまでされる始末。
いつの間にかゾーンも解けていた。
点差は再び10点差にまで縮まった。
だが、ここでT・Oをとったのは意外にも誠凛。
間違いなく、火神の体力の限界が近いことを察してのことだ。
一方、洛山のベンチでは。
「…ちゃん、征ちゃん!聞いてた、今の話!?」
監督が話をするも、征十郎の耳にはそれすら入ってこない様子。
「……」
征十郎がこんな状況になっても、私は何一つ言葉を掛けることができなかった。