第18章 おかえりなさい
第四クオーター残り九分。
点差は14点。
誠凛は征十郎の守備範囲外からの攻撃を仕掛け、木吉さんがシュートを決めようとしたところも、征十郎によって弾かれてしまう。
さらに反撃の動きも速く、ゴール下でブロックしたはずの征十郎が先頭を走る。
もしこれを決められたら、もう誠凛は終わり…!
「止めてくれ…!頼む…赤司を止めてくれぇ!黒子!火神!」
征十郎の前に立ちはだかったのはテツ君と火神。
ダブルチームのように思えたそれだったが、違い、火神が前に出てくる。
だが、『天帝の眼』を持つ征十郎は一切慌てた様子など見せず、火神と逆サイドに抜いた。
もうダメだ、と思った時だった。
「え……?」
私は目を見開いた。
火神を抜いた征十郎の前にはテツ君がいたのだ。
「テツ君…今、征十郎を見てなかった…の…?」
テツ君は今、マークすべき征十郎ではなく、目の前の火神だけを見ていた。
そして、火神の動きを予知し、その逆サイドに動いた。
それによって、火神の動きを予知した征十郎に追いついき…いや、征十郎よりも一瞬遠い未来を視ていた。
「あぁああっ」
テツ君の伸ばした手は、征十郎のボールを捉え、弾いた。