第18章 おかえりなさい
その後も征十郎のワンマンプレイは続き、誠凛はおろか洛山ですら手を付けられない始末。
誠凛のエース火神も、どうにかしたいとは思っているようだが、手も足も出ない。
「…火神君」
そこへテツ君が歩み寄った。
「諦めませんか…一度」
「なっ…」
「黒子…!?」
その言葉に、私も驚いて目を見開いた。
「何言ってんだ黒子!ここまできて…」
「試合を諦めるということではありません。火神君だけで戦うということをです。託す、とは言いましたが、それが重すぎることもあると思います。もし今そうだったら、僕も一緒に背負わせてくれませんか?」
「そんなこと…俺だけで大丈夫だ、何とかしてみせる…!もう少しで…」
だが、そこで火神は言葉を詰まらせた。
テツ君の目はまだ諦めていなかったからだ。
「…わかった。じゃあやっぱ手伝ってもらうわ。やろうぜ、二人で…赤司を倒すぞ!!」
テツ君…。
「けど二人で赤司を倒すって…どうするつもりだ?」
「…前半、ベンチに下がってビデオを見ていた時気づいたことがあるんです。火神君と赤司君の差、それは『天帝の眼』があるかないかです。ならば、僕がその差を埋める『眼』になります」