第17章 もうやめて
誠凛は三連続得点で調子を上げ、オールコートマンツーマン…いや、テツ君の特性を生かすためのS・A・M・D。
勿論、レオ姉のパスはテツ君のスティールに捕まり、誠凛はまたもや得点を決め、点差はついに10点。
監督もまさかの事態に、思わず立ち上がってしまう始末だ。
「実渕…次の攻撃だけお前たち四人で攻めろ」
こんな状況下でも征十郎は慌てることなく、レオ姉に静かに言う。
「え…?ちょっ…征ちゃん、それってどういう…」
聞き返したレオ姉に振り返った征十郎の表情は、あまりにも冷たく、レオ姉も臆するほどだった。
その後のOFは、征十郎はハーフラインまでボールを投げ込んだかと思うと、自陣から一歩も動かない。
征十郎の表情、その眼を見た瞬間。
私の体は凍り付いてゆく。