第17章 もうやめて
テツ君の特性が戻りつつある今、洛山はいつどこから出てくるかわからない彼の存在にプレッシャーを感じ、思うようにOFができない。
それでも征十郎が動じることはなく、スティールからの洛山カウンターに持ち込む。
「え…嘘…」
私は呟いた。
「勝負だ、赤司ぃ!!」
一度は心を折られていたのに…なのに、火神は再びゾーンに入った。
つくづく、テツ君の存在の大きさを実感させられる。
征十郎のマークについた火神は、数歩後ろへ下がった。
マークを外したかのようにも見えるその行動。
「ふざけやがって…んなもん抜けなくてもシュートもパスもやり放題だろが!さっさと3P撃っちまえ、赤司!」
「……」
永ちゃんが言い、征十郎もほんのわずかに動こうとした。
すると、そのわずかな動きに火神は反応したのだ。
「(嘘…でしょう…?そこから届くと言うの!?)」
あまりにも広い守備範囲に、あの征十郎が動けず攻めあぐねた。
だが、そこでいまだ上書きの終わっていない黛さんにパスを出し、永ちゃんへボールは回った。
洛山の追加点。
それに続き、誠凛も返した。
そして再び来た、征十郎対火神。
流石の征十郎も成す術なしに黛さんへパスを出すが、今回はパスコースがなく、黛さん対テツ君の一対一となった。
ここで黛さんが抜いてしまえば、上書きは完成してしまう。