第17章 もうやめて
それを察した黛さんは、こちらから見てもわかるほどに怒りをあらわにしてシュートを決め続けた。
「また決めたー!!さっきからアイツやたら目立ってるぞ!洛山の5番!!」
「立て続けにドライブから得点してる!!」
ギャラリーが盛り上がるのも無理のないことだった。
「おい、あえて言わせてもらうぜ、旧型の六人目君。旧型じゃ新型に勝てねーよ」
黛さんはテツ君を挑発するように言った。
それからも試合は続き、誠凛も堅実に返していく。
「…以前高尾君に言われたことを思い出します」
「は?」
「『幻の六人目』という呼び名。悪いんですが、まだ譲る気はありません」
テツ君が黛さんにそう言い放った直後。
テツ君の姿は黛さんの目の前から消え、パスカットに出ていた。
そのままボールは、火神のダンクへ繋がり、誠凛に得点が入る。
「(嘘…テツ君の特性が戻ったの?…そんなの一体どうやって…まさか!)」
何度目かの黛さん対テツ君。
「まさか…テメェ…上書きしたのか…!!俺に…!!」
私でも気づくのが遅れてしまった。
テツ君は黛さんを自分より目立つように仕向けていたのだ。