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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第3章 似てるの



まあ、なんせ二年生には『無冠の五将』がいて、一年生にはあの赤司征十郎だ。

今更追いつくことも追い越すこともできないのは目に見えてわかるわけだし、退部届を出すのも仕方のないこと、と言えば仕方のないことか。


「……」


私が思考を巡らせながら残りのイチゴオレを口にすると、彼は何も言わずに再び視線を本に戻した。


「…ねぇ、あなた名前何というの?」

「聞いてどうするんだ」

「ほんの興味本位よ。それにどうせ私の名前は知ってるんでしょう?そんなのフェアじゃないわ」

「お前の場合は不可抗力だろ」


確かに。


「美人な上に勉強もできて、トップマネージャーなんだから仕方ないじゃない」

「…ウゼェ奴だな」


初対面の私にここまで言う人は初めてだわ。

それも一切視線を合わせずに。

”高嶺の華”という呼び名を気に入っているわけではないけれど、それなりのプライドはあるわけで、流石にこんな扱いは中学時代のバスケ部の面々以来だ。


「いいから教えなさいよ。データ引っ張り出して探すから」

「…黛」


面倒くさそうに『黛』と名乗った彼。


「下の名前は?」

「千尋」

「可愛い名前ね。ちーちゃん?」

「……」


気に障ったのか、彼は私をチラリとだけ見て、また視線を本に戻す。


「(…本当に本が好きね)」

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