第3章 似てるの
「…”高嶺の華”は仮面か」
「?!」
自分以外誰もいないと思っていた屋上、いや真横から声がして驚いた私はバッと横に振り返る。
が、誰もいない。
「…空耳…?」
いや、でも確かに声が…。
「こっちだ」
「…?…ひぃっ」
こっちだと言われ、きょろきょろと探すが誰の姿も見当たらず、首を傾げていると…見つけた。
私の真横で座り込んで読書をする彼を。
「い、いつからいたの?!」
「最初からだ。ちなみにその前の時もいた」
彼は本から目を離すことなく、私に言う。
「…存在感のない人ね」
「よく言われる」
そう言う彼に私は何故だか興味を持ち、彼の横に私も座り込む。
彼は少しだけ私に目をくれると、またすぐ本に視線を戻した。