第3章 似てるの
屋上に、という彼について行き、校内で一番人気のない北棟の屋上への階段を上がっていく。
洛山に入学してまだ日は浅いが、この階段を上るのはこれで何回目だろうか。
「あの、初めて見た時から好きでした!俺と付き合ってください!」
このセリフを聞くのも何回目だろうか。
中学の頃から数えれば桁が変わるほどになるんじゃないか、と思う。
「気持ちは嬉しいんだけど、部活に集中したいの。ごめんなさい」
営業スマイルのまま眉を下げて、困ったように笑って見せれば、大抵の人は顔を赤くして去っていってくれる。
目の前の彼もこれまで通り、「そっか…」と呟き、屋上を去っていった。
「…全く、面倒くさいわね」
彼が校舎に入っていたのを確認してから私は表情を戻し、まだ残っているイチゴオレのストローに口をつけながら、柵にもたれかかる。
「(…どいつもこいつも同じことしか言わないんだから)」
その度に同じ顔で同じセリフを吐くこっちの身にもなって欲しいもんだわ。
そんなことを思いながら、無表情に空を眺め、イチゴオレを喉に通す。