第15章 洛山のマネージャー
すると、意外にも動いたのは黛さんだった。
「赤司。洛山の彼女の力が必要なのも事実だ。こうして反省しているようだし、今回だけでも許したらどうだ」
「……」
黛さんの言葉に、征十郎は漸く本を閉じた。
「お前が口を挟むなんて珍しいじゃないか。一体どういう風の吹き回しだい?」
「別に…俺は思ったことを言ったまでだ」
「ふん…」
少し考える素振りを見せた後、征十郎はこちらへ向き直った。
「そうだな…僕も少々意地になっていた部分もある。今回は特別だ」
「征ちゃん…!じゃあ…」
「ああ。華澄、今回の件は不問にする。ただし、今後こういったことは一切ないようにしろ」
私は顔をあげ、征十郎を見た。
いつもの涼しい顔で私を見ている彼の表情に、少し安心感を感じた。
「征十郎…本当にごめんなさい……それと、ありがとう…」
あとほんの少しの間だけだが、私は洛山のマネージャーでいられる。
そのことに安堵し、溢れ出そうになる涙を堪えた。