第15章 洛山のマネージャー
気づかれても、今の私には彼に一体どんな言葉を掛ければいいのかわからないし、彼も私とは話したくないだろう。
「…黄瀬に勝ったようだな」
「あ?お、おー」
「フッ…」
「んだよ」
意外と近い位置で話す二人の会話は、こちらまで丸聞こえ。
それと、話の節々や二人の様子から、この二人の仲は宜しくないのだと察した。
「まさかお前が赤司のところまで辿り着くとはな…誉めてやるのだよ」
「何で上からなんだよ、オメーはよ。つーか何でこんなとこにいんだよ?」
「何も…少し物思いにふけっていただけなのだよ」
「なんだそりゃ?お前だって明日三決あんだろ?」
「かまわん…不本意だが、既に結果は見えている」
真ちゃんは言った。
明日の決勝前、秀徳対海常の三位決定戦が行われる。
私が忠告した通り、黄瀬は欠場だろう。
ともなれば、黄瀬無しで海常が秀徳に勝つことは厳しい。
「その後ついでだ。お前たちの試合でも眺めていくとするのだよ」
「はっ、赤司の応援でもすんのか?」
「するか、馬鹿め」
「あ゛!?」
「する気もないし奴に応援など必要ない…赤司と藍川は強いぞ」
ああ、ラスボス的な位置に私も含まれているのね。
もう私は洛山の人間ではないけれど…。
「わかってらー。お前ら『キセキの世代』とここまでやってきたんだ。今更ちょっとやそっとじゃ驚かねーよ。お前だってあと一歩だったじゃねーか。勝負はやってみなきゃわかんねーぜ」
火神は真ちゃんに言う。