第15章 洛山のマネージャー
今日の試合を全て終えた会場は、先程までの熱気はどこへ行ったのか、というほど静まり返っている。
洛山のマネージャーをクビになった私には行く宛てもなく、ただ一人、観客席で物思いにふけっていた。
「これから…どうしようかしら…」
退部届も提出しなければならないし、そもそも洛山高校にいられるのだろうか。
ともなれば転校、ということにもなるのか。
「これって…本当のもしもの時、なのよね…」
修ちゃんからも本人からも、本当にもしもの時は氷室さんに連絡するように、と言われた。
だからと言って本当に甘えてもいいのだろうか。
それに、氷室さんに匿ってもらうとしても、確実にあっくんと鉢合わせることになるし…それはそれで色々と複雑と言うか…。
「ねぇーっどこだー?」
ふと声が聞こえ、そちらに目を向けると、誠凛の火神が何やら探し物をしているように慌てていた。
「…探し物はこれか?」
「え?そうそれ!どこで……緑間!?」
あ、真ちゃん。
「(真ちゃんも…物思いにふけってたのかしら…)」
あの様子だと、おそらく私には気づいていない。