第14章 できないわ
だが、それも彼の前では無意味なことで、アッサリその手も捕まってしまう。
「…どうして…?どうしてそんなことが言えるの…?」
自分のあまりの無力さに、私は涙を零しながら征十郎に訴えかけた。
「…確かに私は洛山のマネージャーよ?でも、あなたのマネージャーではないわ……私は、ただ…心配なの、助けてあげたいだけなの…たとえそれが他のチームであっても……そのチームが洛山にとっていい好敵手であれるように……!…なのに、どうして…っ」
「……」
「もう、二度と…征十郎に逆らわないわ。これっきりにするから……だから、お願いよ…黄瀬のところへ行かせて…」
私が涙ながらに言うと、征十郎は少し考えたようにして、私の手を離した。
「いいだろう」
「せ、じゅう…ろ…?」
「華澄、お前には洛山のマネージャーを辞めてもらう」
「!」
「征ちゃん!?それはあんまりよ!」
洛山のマネージャーを…辞める…?
この…私が…?
「玲央は黙っててくれ。…華澄、お前は確かに優れたマネージャーだ。僕に着いてこさせたのも、他にいられては厄介だと思ったまでのこと。だが、それも他ばかり見ているようでは意味がない…もう用済みだ。それでもいいと言うのならば行け」
征十郎の目は本気だ。
もし…ここで私が頭を下げて謝れば。
黄瀬を見捨てれば。
征十郎は許しはせずとも私をこれまで通り洛山のマネージャーとして置いてくれる。