第14章 できないわ
征十郎の鼓舞により、洛山全員の顔つきが変わり、試合は再開。
完全に立ち直った洛山は、よどみない攻めを見せる。
「残念だが、この試合はもう終わりだ。宣言しよう。お前はもうボールに触れることすらできない」
「なん…だと…!?」
征十郎は真ちゃんに言い放った。
「(できるわ…彼には『天帝の眼』がある。それに…)」
征十郎がそう易々と何度もシュートを見逃しているわけがない。
もう攻略法は見抜いているはずだわ。
高尾君はレオ姉と黛さんのダブルチームを躱し、真ちゃんにパスを出す。…が。
「言ったはずだ。絶対は僕だと」
征十郎はそのパスを止めた。
「(もう…ダメだわ…誰にも、征十郎は止められない…)」
征十郎のレイアップ。
レオ姉の3Pのバスカン。
コタちゃんのダブルクラッチ。
永ちゃんのブロック、リバウンド…。
「…改めて敬意を表する。真太郎…そして秀徳高校。最後まで誰一人闘志を失わなかった…だが、届かない」
勝っているのに。
私たちの洛山が勝っているはずなのに、私の目からは自然と涙が零れ落ちた。
「眠れ、歴戦の王よ」
征十郎が放ったシュートがゴールに吸い込まれ、ブザーが鳴った。