第14章 できないわ
たった十分にも満たない時間はあっという間に過ぎ去り、私たちはコートへ戻った。
『第三クオーター、始めます』
「後半、始まった!!」
後半戦が始まり、言っていた通り、真ちゃんのマークには征十郎が付く。
真ちゃんはノーフェイクで3Pのフォームに入る。
だけど…。
「ダメよ…そんなんじゃ…」
完全に意を付いたその動作も彼の『眼』の前では無に返される。
真ちゃんから奪ったボールから洛山カウンター。
すぐさま高尾君が追いつき、征十郎を抜かすまいとマークに付くが、それすら無意味なもの。
「逆らう者は何人たりとも見下ろすことを許さない」
アンクルブレイクで倒れた高尾君の目の前で、征十郎はボールを放つ。
そのままボールはネットをくぐった。
「頭が高いぞ」
*
最後の十分、第四クオーターに入った。
征十郎が切り札を出したことで、点差は14点。
勿論、リードは洛山だ。
秀徳も、なんとか征十郎を止めようと食らいつくが、そんなものは彼の前では全て無になる。
何故なら。
「(そう…彼の『眼』は…)」
全てを見透かす ――― 『天帝の眼』。