第14章 できないわ
火神は征十郎に腰を落とされていた。
「頭が高いぞ」
「なっ…!?」
「征十郎!何しているの!?」
すぐさま征十郎の手を彼から離す。
その私の行動に、征十郎はフッと笑い、テツ君に目を向けた。
「テツヤも。僕とやるつもりなら覚悟しておくことだ。お前の力を見出したのは僕だ。いずれそれを思い知ることになる」
「もう…っ、いいから早く行くわよ!…テツ君、火神君…本当にごめんなさい…」
「…いえ」
テツ君たちに頭を下げ、どうにか征十郎を引きずりながらも控室へと戻った。
控室では、少しでもスタートから出ずっぱりの五人の疲労を軽減するために、アイシングやマッサージを樋口先輩と分担して施す。
その間も、私の表情は曇ったまま。