第3章 似てるの
「もしもし?どうしたの、こんな時間に」
『…おい、松本優奈って誰だ?』
「あら、早速手紙書いてくれたのね」
『お前な…』
修ちゃんが言いたいことは、すぐに分かった。
現在アメリカにいることになっている優ちゃんとは、普段はメールでやり取りしている。
しかし、メールだけじゃなく手紙も書きたい、と言い出した彼女に困り果てた私は、修ちゃんの住所を教え、色々な手続きがまだ済んでいないと嘘をつき、宛名も『虹村修造』で、と言ったのだ。
『帰ったら知らねー奴からエアメール来てっし、開けたら『華澄へ』とか書いてあっし…お前、一言言えよ』
「それはごめんなさい。あと、悪いんだけど、それこっちへ送ってちょうだい」
『あ゛あ゛ん?!』
「よろしく。じゃ、私今学校だから」
『おい!ちょっ…』
修ちゃんが何か言いかけたのが聞こえたが、文句とその後にお説教コースが間違いなく待ち構えているのがわかったので、私は無理やり通話を切った。