第3章 似てるの
征十郎は冷酷非道の魔王だし。
レオ姉はオネエだし。
コタちゃんも何だかんだうるさいし。
永ちゃんなんていつもゲップするし。
私が毎日間近で見てるからかもしれないけど、そんないいものでもないと思う。
それに他のマネージャーより仕事の多い私は、部員を一々そんな目で見る暇もないわ。
「…お、うち何にしよっかなー。華澄ちゃんはイチゴオレやんな?」
「ええ」
自販機の前まで来た私は、お金を入れて何の迷いもなくイチゴオレのボタンを押す。
成美ちゃんは、オレンジジュースにするかリンゴジュースにするかで迷っていた。
そんな彼女を見ながらストローに口をつけていると、ポケットの中で携帯が震える。
着信相手は、従兄の修ちゃん。
「(…こんな時間に電話なんて珍しいわね)」
いまだどちらにするか迷っている成美ちゃんを眺めながら、私は通話ボタンを押す。