第13章 歯痒い…
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「…何なのだよ、これは」
突然飛んできた物体。
恐る恐る近づき、拾い上げてみれば、それは携帯。
「あーあ、画面バリバリに割れてんじゃん…。で、これどーすんの?」
「そうだな…」
突然飛んできた携帯を片手に、これからこの物体をどうするのか悩む二人。
「…真ちゃん?」
携帯を探しに来た私の目に映ったのは、オレンジのジャージの秀徳。
そして、見覚えのある姿。
私が声を掛けると、その姿はゆっくりと振り返った。
「藍川か?」
「何?真ちゃん、知り合い?」
「中学時代のマネージャーなのだよ」
「帝光の…藍川…?って、えぇぇえ?!あの藍川華澄?!」
「あはは…どうも。初めまして」
真ちゃんの隣の彼は、私のことをまじまじと見て叫ぶ。
私をまじまじと見る彼は、真ちゃんのチームメイトの高尾和成だろう。
「うるさいのだよ、高尾。それより、藍川。お前はアメリカに行ったのではなかったのか?」
「…そんなこと言っても、気づいてたくせに」
そう言って私は、息を漏らしながら自嘲気味に笑った。