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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第13章 歯痒い…



征十郎は、固まった私の手から携帯を奪い取り、その画面をまじまじと見る。


「先程から隠れて何かやっていることには気づいていたが…。言ったはずだ、次はない、と」

「なっ…」


そう言うと、征十郎は会場外の大きな壁を通り越して、私の携帯を投げ捨てた。


「なんてことをするのよ!まだ黄瀬には今日のケアしか教えていないの。怪我の具合によっては、明日のテーピングも変えなくちゃいけないわ…。それに私は直接手を下してはいない…約束は守っているはずよ?!」

「僕に逆らうのか」


私に振り返った征十郎の目は恐ろしいほどに冷たかった。

有無言わさない、逆らうことのできない、彼の瞳が私を捉えた。


「僕の命令は絶対だ。逆らうなど、いくら華澄でも許さない」

「……」


私は唇を強く噛み、冷え切った掌を握り締めた。


「…ごめんなさい」


こんなとこで、まだ征十郎は今のままなのに…。

零れそうになる涙を堪えた。


「帰るぞ」

「先に行ってちょうだい。携帯を拾ってくるわ。もし誰かに拾われたら、私も拾った人も困ってしまうから…」

「ならば、そこで待っている」


下を俯いたまま、私は征十郎の横を通り過ぎた。

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