第13章 歯痒い…
「(とりあえずはケアだけ指示して…明日、様子を見てからテーピングを考えないと…)」
嫌いだけど、黄瀬の力を認めているのも事実。
本当は…もし許されるのならば、今すぐ私が直接黄瀬の元へ行って助けてあげたい。
「(なのに…それが今は叶わないということが歯痒い…)」
メールを送信して少しすれば、私の携帯がポケットの中で震えた。
相手は黄瀬。
『とりあえずでも十分ッスよ。
ありがとうッス!』
いけ好かない私からのメールにもきちんと返すなんて、本当に黄瀬も変わったわね。
…いや、あの頃に戻った、といった方がいいのかもしれない。
そのことに私は表情を緩めた。
「…良かったわ」
「何が良かったんだ」
「!」
黄瀬も大ちゃんも、あっくんもあの頃に戻ってくれた、ということに浮かれて、根本的なことを忘れていた。
突然、私の正面に立った征十郎を見上げ、私は思わず息をのんだ。