第13章 歯痒い…
*
控室へ戻った俺のバッグの中で携帯が鳴り響く。
メールの差出人は、藍ちん。
『あっくん、試合お疲れ様。
最後のあっくんは凄く格好良かったわよ。
膝はしっかり冷やしてね?』
そう綴られた言葉の下には、細かいアイシングケアの指示が書かれていた。
「アツシ?どうしたんだい?」
「……っ…」
――― 木吉のテーピングを見た瞬間、これが藍ちんのものだってことはすぐに分かった。
『何でいつも藍ちんは俺を選んでくれないんだろう』って思ったし、悔しかった。
それでも。
彼女は優しいから、いつも泣いてたから。
その原因が俺たちだってわかってても、
また笑って欲しくて、俺を見てほしくて…。
俺はただ、皆に…赤ちんに勝って、君を奪いたかっただけだったんだ。