第13章 歯痒い…
あっくんがゾーンに入った今、対抗できるのは火神だけだが、その火神ももう限界が近い。
ここまでか、と思ったその時。
火神のダンクが、あっくんのブロックをものともせずに決まった。
残り4秒、誠凛は逆転。
だが、陽泉の戻りも早く、フリーのままあっくんにボールが回る。
「(シュートを放てば陽泉の勝ち。…だけど)」
あっくんの膝は、もう限界だ。
跳べないあっくんのボールをテツ君が弾き飛ばし、ブザーが鳴り響いた。
「何故、泣いているんだい?」
「ごめんなさい…ちょっとトイレに行ってくるわ」
「……」
征十郎に断りを入れて、私はその場を離れた。
テツ君はやっぱり凄いわ…。
『キセキの世代』の彼らを、悉くあの頃に戻しちゃうんだもの。
私は、ポケットから携帯を取り出し、メールを打った。