第13章 歯痒い…
だが、これは私への監視なんだと直感で気づく。
これ以上、私が妙な真似をしないように。
「それに、勝負はここからだったようだ」
タイムアウトが終了し、コートへ現れたあっくんは、長い髪をくくり、見たことのない顔つき。
「(…こんなあっくんは、初めて見るわ)」
驚くことはそれだけではなかった。
なんと、あのあっくんがパスを出したのだ。
「(あっくんが、連携…!?それに、今度は…)」
驚いたことはもう一つ。
火神のPG。
「この試合、めちゃくちゃだわ…」
まあ…諦めが悪い、ってことなのよね。
テツ君の選んだチームらしいわ。
そして、残り一分、彼は…木吉さんはコートに現れた。
「(間に合ったのね…良かった…)」
ありがとう、さっちゃん。
心の中で呟き、私は安堵の息をついた。
木吉さんは氷室さんのシュートを日向さんと連携で止め、更にはOFリバウンドさえももぎ取る。
日向さんの3Pで残り20秒、点差は1点差までつめた。
あと1ゴール決めれば誠凛の勝利、だが。
「ねぇ…もしかして、あっくん…」
「華澄も気づいたか」
あっくんが、ゾーンに入っている。
「(あっくんが…?ということは、つまり…)」
あっくんもバスケが好きだった、ということ。
その事実に、私の目から涙が零れ落ちた。