第13章 歯痒い…
だけど、通常のそれとは何かが違う。
「なるほど。テツヤのスティールを最大限に生かすための陣形か」
「テツ君の…?あ、わかったわ」
通常のオールコートマンツーマンと異なる点、それはマークが次々に変わっていくこと。
そのため、スティールの脅威のテツ君がどこから現れるか予測不可能。
ボールを奪ったテツ君はそのままシュートを放つ。
ボールは一瞬視界から消え去り、気づけばゴールの中に吸い込まれていた。
その後、再びテツ君のスティールから伊月さんがシュートを放つがタイムアップでノーカウント。
第三クオーターが終了した。
「シュートが消える、か。あの様子だと敦は止められていないようだな」
「…何か引っかかるのよね」
「どうしたんだ?」
シュートが消えるなんてあり得ない。
だってボールは試合中、ずっとコート上に存在しているのだから。
それにあのシュートフォーム…。
「ねぇ…目の前であのシュートフォームをされたら、征十郎だったらどこに視点を持っていく?」
「そうだな…やはりボール、かな」
「……」
やはり、コート上で一番存在感のあるものはボール。
あんなフォームをされては、当然視点は下がるし、その分視界も狭まって…。