第13章 歯痒い…
ここで漸く選手交代、テツ君がコートに戻ってきた。
「へぇ…これが噂の『消えるドライブ』か」
コートに戻ってきたテツ君は陽泉のDFを破るように、ドライブで攻める。
「タネなら簡単よ」
「ダックインか」
「ご名答」
ま、征十郎ならこのくらいわかるとは思ったけど。
と、次の瞬間。
「?」
何…あのフォーム…。
見たこともないようなテツ君のシュートフォームに私は首を傾げる。
だが、シュートだと思ったそれはパスで、火神がそのままアリウープを決めた。
「今のは…って、え?いや…嘘でしょう?」
「……」
テツ君が予測不能なところは昔からだが、今のテツ君の思考は本当に分からない。
あっくんのマークをテツ君ができるわけない。
ミスマッチもいいとこだ。
「…いや、テツヤは敦を止める気だ」
「止めるって…一体どうやって…」
「見ていればわかる」
征十郎に言われ、試合に目を向けると、ボールと貰ってターンをしたあっくんがテツ君の存在を一瞬見失い、チャージングのファール。
「な、なるほど…」
「危険である上に、二度目以降は使えないがな。テツヤらしいじゃないか」
そして誠凛の攻撃から、日向さんの3Pが決まる。
その後のDFはオールコートマンツーマンだ。