第13章 歯痒い…
私は眉を顰めながらモニターに集中する。
現在、誠凛と陽泉の点差は5点にまで縮まっていた。
そして、賢明な誠凛の姿が彼の逆鱗に触れたのだろう。
あっくんはOFに参加した。
「珍しいな。敦がOFに参加するとは」
「それだけ気に食わなかったんでしょ」
元々、あっくんの得意分野はDFではなくOF。
それはもう、凄まじいものだ。
トリプルチームが付いてようがお構いなし、パワーも強いし、DFの戻りも早い。
そして…。
「嘘…」
「流石にこれは初めて見るな」
ゴールの破壊。
そのため試合は一旦中断されるが、時間が延びれば延びるほど、彼らの精神的疲労は蓄積される。
試合再開後も、木吉さんの疲労は溜り、膝はもう限界だ。
「(今、彼がいなくなればキツイのはわかるわ。それでも交代させるべきよ…私のテーピングもまだやっていないのに。何やってるの、誠凛の監督は…!)」
そして、とうとう倒れ込んだ木吉さん。