第13章 歯痒い…
そんなことを頭の隅に置きながら、私は試合に目を戻す。
「…はあ?」
後半戦、テツ君はベンチで、火神も開始直後にベンチへ戻された。
別にそれに驚いているわけではない。
本来、Cであるはずの鉄心…木吉鉄平がまさかのPG。
「(普通ならあり得ない…けど、よく周りが見えているし彼には『後出しの権利』がある)」
流石は『無冠の五将 鉄心』と言うべきか。
その証拠に、彼を中心にパスが回り、誠凛に点が重ねられてゆく。
「(あっくんもどこかムキな感じがするわ…)」
あっくんの性格を考えれば、誰かしら…ここでは間違いなく木吉さんに挑発でもされたのだろう。
あっくんはテツ君もだけど、彼のような人間が嫌いだし…確か中学時代も彼と当たった試合で大暴れだった。
「(だけど…)」
あっくんだけでなく、木吉さんもどこかムキで、更に一人二役。
疲労は今までの倍以上だろう。
それにトリプルチームも加わり、膝はもう悲鳴を上げている。