第13章 歯痒い…
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WC五日目。
洛山は午後一時から試合。
征十郎は「調整だ」なんて言って後半だけ出場。
結果は言うまでもなく圧勝で、難なくベスト4を決めた。
反省会という名のミーティングもそこそこに私たちはギャラリーから、明日の対戦相手になるであろう秀徳の試合を観戦した。
「流石は『歴戦の王者』ね…。基礎がしっかりしているわ」
レオ姉は呟く。
「それでも勝っちゃうんでしょう?」
「当たり前!…んー、俺のマッチアップは…あの8番かなぁ。どんな奴?」
私の隣に座る征十郎越しにコタちゃんは、目を輝かせて問いかけた。
「8番…あ、宮地清志ですね。三年、ポジションはコタちゃんと同じSF。ベンチ入りは二年からですが、スタメンになったのは三年からです。実力はあるんでしょうが…コタちゃんが負けるような相手じゃありませんよ」
「へぇー」
「ただ、彼もコタちゃん同様、ドリブルスキルが高いので注意してくださいね?間違っても挑発に乗って足元をすくわれないように」
「だそうだ、小太郎」
私がコタちゃんの性格から念押しするように言えば、征十郎も彼の方をチラリと見る。
「わかってるよ!」
コタちゃんは、頬を膨らまし、少しイジけたようにして顔をフイっと背けた。