第12章 本当にそうかしら
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先程のブザービートなど意にも解さないようなプレイを見せる誠凛。
それともう一つ。
大ちゃんの様子が変わった。
それ故か、桐皇は大ちゃんを中心に点数を重ねてゆき、更には大ちゃんがバスカンで3点追加、あっという間に再び10点差。
「…大ちゃんにトリプルチーム?」
「人数を付けたからと言って止められるものではないぞ…特に大輝は」
一体何を考えている、テツヤ。
小さく征十郎が呟いたのが聞こえた。
私も征十郎に同感だ。
大ちゃんを止めなければ、この試合で誠凛に勝ち目がないのはわかっている。
だけど…トリプルチームだけで大ちゃんを止められないことくらい、テツ君が一番良く分かっているはずじゃ…?
「…いいえ、違うわ」
「何が違うんだ?」
真っ直ぐにコートを見つめる私に、征十郎が目を向ける。
「テツ君の目的は大ちゃんを止めることじゃないわ。おそらく、テツ君は大ちゃんのシュートを外させることを目的にしているのよ」
「なるほど…視線誘導で大輝の意識を一瞬自分に向ける、ということか」
私と征十郎が予測したように、大ちゃんはトリプルチームを抜き、火神のブロックも躱した上でシュートを放つも、ゴールには入らなかった。
その後、堅実に返す誠凛は、点差を6点にまでつめた。