第12章 本当にそうかしら
勿論、トイレなんて嘘。
征十郎にはバレているだろうが、そんなことは今の私には関係ない。
私は携帯をポケットから取り出し、さっちゃんにメールを打った。
内容は…肘のテーピング方法。
「さっちゃんなら、巻けるわよね」
メールを打ち終えた私が向かうのは、そろそろこちらに出てくるであろう誠凛の控室付近。
長く待たずとも、前半戦を終えた誠凛はやってきた。
その最後尾には、誠凛の女監督と鉄心。
「あの…少しよろしいでしょうか」
「?」
「あれ?君は…」
背後から声を掛けると、二人は私の方へ振り返る。
「膝のテーピングですけど…その巻き方では持ちませんよ」
私は二人に笑みを見せながら言った。