第12章 本当にそうかしら
その後も試合は、大ちゃんと火神の一対一。
火神を好敵手、と認めたのか、大ちゃんも本気を出し始めた。
「来るわ」
大ちゃんの『型のないシュート』。
こればかりは、流石に止められるはずもない。
のに…。
「なっ」
「!?」
火神は大ちゃんのシュートを止めた。
征十郎も予想外の出来事に、目を見開いた。
「……」
早い試合展開。
二人の野生、ともいえる選手の動きに合わせるだけで他の選手は精一杯、といったところか。
そんな中、私にはやはり気がかりなことが一つ。
「失礼、トイレへ行ってくるわ」
「…ああ」
前半戦が終わる前に、私はその場を離れた。