第12章 本当にそうかしら
「あら?」
どんどん展開されてゆく試合。
私がここに着いた時点で、第二クオーターであったし、テツ君もすぐにベンチに下げられた。
だが、テツ君がベンチに下がったと同時に、誠凛の10番…火神大我の顔つきが変わる。
「……!」
顔つきが変わった、そう感じた次の瞬間。
大ちゃんが火神のDFを抜き、シュートをしようとした…はずだった。
それを、火神はブロックした。
「大ちゃんに追いついた…?!」
火神大我については、ある程度リサーチ済みだ。
跳躍力が凄まじいことも『キセキの世代』と遜色ないバスケセンスを持っていることも知っている。
それでも、『キセキの世代』一のスピードを誇る大ちゃんに追いつくなんて…。
「これは面白い試合になりそうだね」
隣に立つ征十郎は、口元を緩めながら呟いた。
征十郎の言うように、面白いことにはなりそうだけど…これは…。
「(私の予想を上回る展開だわ)」