第12章 本当にそうかしら
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『RAKUZAN』
背中に大きく書かれた文字。
マネージャーの中でも、私にだけ着ることを許された洛山のジャージを翻し、いつものようにポケットに手を突っ込む。
堂々とした立ち振る舞いで私は会場へ入った。
「オイ…見てみろよ、スッゲー美人」
「ホントだ…って、洛山のジャージ?」
「えっ?!洛山って女マネいた?」
「ちょっと待てよ…あれって…帝光の…!」
会場へ一歩踏み入れれば、あちらこちらから聞こえてくる声。
間違いなく、私のことだ。
周囲が驚くのも無理はない。
洛山のマネージャーは、従来男子であるにも関わらず、そのチームジャージを女子が着ている。
その上、それを着ている張本人が、姿を消したはずの帝光の『藍川華澄』なのだから。
「(私のかくれんぼの成果ね。征十郎のお披露目も成功じゃない)」
そんなことを思いながら、私はアリーナの観客席へと足を進める。