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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第11章 夏の大三角形なのよ?




「(こんな楽しげな表情の征十郎は久しぶりに見るわね…嫌な予感しかしないわ)」


今の彼がこんな表情をするときは、大抵が予測できないような出来事が起こった時。

自分を楽しませる玩具でも見つけた時に限る。


「以前、華澄は誠凛について、これからもっと面白いことになる…と言っていたね」

「そうだけど…それがどうかしたの?」

「やはり、お前の予測は外れないな」


的を射ない答えに、私は首を傾げる。

今の征十郎の言葉から推測できるのは、テツ君のいる誠凛で何かあった、ということだけ。

だが、今のところ私の耳には、征十郎がこんな表情をするほどの情報は入ってきていない。


「今日、東京ではWC予選があっていたそうだな」

「ええ。確か…誠凛は丞成と試合だったかしら。まあ、誠凛が負けたなんてことはないでしょうけど。なんせあの『鉄心』が戻ってきたらしいし…」

「いや、それよりも」

「…?」


征十郎は楽しげな表情を保ったまま続けた。


「…僕たち『キセキの世代』は、あまりにも突出した才能故に、一対一で対抗できるのは、同じ『キセキの世代』だけだった。…今までは」

「……」


『今までは』

征十郎が最後に付け加えたその言葉こそ、彼が一番言いたいことだと、私は直感で理解した。


「だが、僕も今日聞いたよ。僕たち天才しか入ることのできないはずの部屋の扉がこじ開けられた音を」


直接的に音を聞いたわけではない。

ただ、彼らは感じたのだろう。

彼らにしかわからない音で。

『キセキの世代』しか入ることの許されないその部屋に、誰かが足を踏み入れたことを。

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