第11章 夏の大三角形なのよ?
勿論、真っ赤に色づいた紅葉を見れれば、それが一番ではあるが、私にとっては、このメンバーで今ここにいられるだけで十分だ。
「なー、それより腹減らね?なんか食おうぜ」
「永ちゃん、そればっか!もっと景色を楽しもうよ!」
「んなこと言ったって、葉っぱ見てても腹は膨れねーだろ」
レオ姉と黛さんに引き続いて、今度はコタちゃんと永ちゃんの口論が始まる。
その様子がおかしく、私の口元は少し緩んでしまう。
こんな光景を見ていると、何だかんだで、このチームは仲がいいのではないか…なんて暢気なことを考える。
「そうだな。永吉の言うように、食事でもとろうか」
「お、赤司は話が分かるじゃねーか」
征十郎の一声で、私たちは近くの京料理のお店へ入る。
一見、敷居の高そうなお店ではあるが、観光客向けらしく、実際の値段はそこまで張らない上に、このメンバーのほとんどはお坊ちゃま。
ま、洛山に入学しているという時点で、いくらバスケ推薦だろうが、ある程度は育ちがいいことはうかがえる。
「華澄」
お店へ入る途中。
最後尾にいた私に征十郎が隣に並んで話しかけた。
「何?」
?
私が問いかけても、征十郎は口角を上げたまま何も言わない。
一体何があったというのか。