第11章 夏の大三角形なのよ?
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「あーあー、負けたの俺かよ…」
高台寺の拝観に行くのは、少し練習の早く終わる週末にしよう、ということになった。
そして、今日はその当日。
練習を終えた私たちは、制服のまま高台寺へと来ていた。
「普通、言いだしっぺが負けるんだよ?」
「あら、『早速じゃんけんしよ』なんて言い出したのは小太郎よ」
「そうだけどさー」
数日前、じゃんけんに負けたのはコタちゃん。
何だか可哀想なので、私が自費で行くと申し出たが、征十郎に「甘やかやかすな」と言われてしまった。
「小太郎が自費とかはどーでもいいけどよ」
「ちょっと、永ちゃん?」
「…まだ色づいてなくねーか?」
永ちゃんは何か言いたげなコタちゃんを無視して、周りの木々を見渡しながら言う。
その視線の先々の木々は、永ちゃんの言う通り、まだ赤にも黄色にも色づいていない。
「紅葉のピークは今月末らしいからね」
永ちゃんの言葉に征十郎が答える。
「でも、所々色づき始めてるわよ?これも風情があっていいじゃない」
「男のお前が風情を語るな」
「何ですって?!」
そのままレオ姉と黛さんは口論になる。
といっても、レオ姉が一方的に文句を言い続けるだけで、黛さんはその半分も耳に入れていない。
「まあ…仕方ないわよね。ピークを迎える頃は、WCの一か月前でもあるわけだし。そんな時期に悠長に紅葉狩りなんてできないんだもの」
私は小さな声で呟いた。