第11章 夏の大三角形なのよ?
事の次第をレオ姉は征十郎に伝える。
「そんなことか。僕はいいから華澄が行って来たらどうだ」
「いいわよ。私は興味ないんだから、征十郎が行ってきなさいよ」
「嘘をつくな。行きたい、と顔に書いてあるぞ」
「え?!」
征十郎に言われ、私は思わず両手で頬を覆った。
「カスミン、やっぱ行きたかったんじゃん」
「ん?んなことどこに書いてあんだ?」
「永ちゃん…多分それ違う…」
コタちゃんと永ちゃんのやり取りを見つつ、本音など端から顔に出ていなかったんだと察した。
くぅ…鎌をかけられたわ…!
「だったらこうしましょう!この中でじゃんけんして負けた人が、自費で拝観するの。それならどう?」
「そんなことするくらいなら、やっぱり私が…」
「いいんじゃないか」
「征十郎?」
レオ姉の提案は妥当。
でもやっぱりそうするのなら、私が不参加で皆に楽しんできてもらった方が…と思っていれば、征十郎が私の言葉を遮る。
隣に立つ征十郎を見上げれば、目が合う。
「本当は行きたいんだろう?だが華澄のことだから、選手を優先させるべきだとも考えている。ならば玲央の言う通りにした方が手っ取り早い。お前たちもそれでいいだろう?」
征十郎が全員に視線を向ければ、五将の三人は二つ返事でオッケー。
黛さんも、渋々ではあるが了承した。
「じゃ、早速じゃんけんしよ!行くよー?じゃんけん…」
コタちゃんの声で六人全員がポンと手を出した。