第11章 夏の大三角形なのよ?
「カスミンっ、ドリンクちょーだいっ」
私がドリンクを配っていれば、コタちゃんがいつもと変わらない元気さで、私の元へ走り寄ってくる。
「藍川…さっき俺の噂してただろ」
黛さんはドリンクを受け取りながら、眉間に皺を寄せて言ってくる。
「誰も黛さんの噂なんてしませんよ。自意識過剰ですか」
「そうよ。華澄ちゃんがあなたの話なんてするわけないじゃない」
私とレオ姉で言えば、黛さんはさらに皺を深くして私を見る。
「オイオイ、んな皺寄せてたら、痕が残るぜ?」
「余計なお世話だ」
永ちゃんが黛さんの肩に手を置きながら言うと、黛さんはそれをスッと払う。
その様子に笑った永ちゃんは、口に含んでいたドリンクが口から漏れてしまい、黛さんにかかる。
「永ちゃん、汚いって!ほい、黛さん。俺のタオル貸してあげるよ」
「…お前の汗付タオルじゃねーか」
その一連の流れに、私は思わず笑ってしまう。