第11章 夏の大三角形なのよ?
この心地よい雰囲気がずっと続けばいいのに…。
ずっと彼らの側にいられたらいいのに…。
なんて柄にもないことを思う。
「あ、そうだわ」
ふと今日のことを思い出して、私はスカートのポケットから例のものを取り出す。
「これ、友だちに貰ったんですけど…誰か行きませんか?」
「あら、高台寺の拝観券?五枚もあるじゃない」
私が今日、成美ちゃんに貰った拝観券を見せれば、レオ姉はまじまじとそれを見た。
「いーじゃん、折角だし行こーよ」
「パス」
「黛さん、ノリ悪いって!」
「俺もパス。葉っぱ見て何が楽しんだよ」
「いいんですか、永ちゃん。美味しいものあるかもしれないのに」
「行く」
黛さんはコタちゃんが引きずってでも連れてくとして、これで四枚は確実に使い道ができた。
あとは、征十郎にでも渡して皆で楽しんできてもらうとしよう。
「じゃあ…残りの一枚は征十郎に渡しておいてください」
そう言って、私が五枚の拝観券をレオ姉に渡す。