第10章 どんな顔をするのかな
征十郎の背中に抱き付いたまま、前を見る征十郎の顔を見た。
「(…これだけ見ると、あの頃と何も変わってない気がしてしまうの)」
だが、現実は違う。
全て変わってしまった。
そのことに、切なさを感じてしまう。
「ねぇ…征十郎」
「なんだ」
「…ううん、なんでもないわ」
ねぇ、征十郎。
私は今でもあなたのことが好きよ。
今のあなたのことも受け入れてる。
でもね?
本当はあの頃のあなたに戻って欲しいって…戻したいって思ってるの。
こんなこと言ったら…
あなたはどんな顔をするのかな…?