第10章 どんな顔をするのかな
あの頃は、本当に楽しかった。
毎日が輝いていた。
…それを壊したのは、他でもない、私自身。
ずっと現実から目を背けてきたけど、もう振り返らない。
私は…。
「こんなところで道草か」
「?!」
真後ろから声がして、私は閉じていた目を開けて振り返った。
そこに立っていたのは、洛山高校バスケ部主将の赤司征十郎様。
「(え!?どうしてあんたがここにいるのよ?!練習は?!)」
思わぬ出来事に、私は口をパクパクさせて驚いた。
そんな私を見て、征十郎は一つため息をついた。
「全く…。練習中に華澄の姿が見えないと思って様子を見に来てみれば…何をやっているんだ」
あら?
こんなこと、以前にもあったような気が…。
それに練習中なのに、私がいないことに気づいたの?
「(それって、つまり心配してくれて…)」
「ああ、心配などしていないよ」
「ソウデスカ」
と言うより、どうして心の声が聞こえるのよ。