第10章 どんな顔をするのかな
こんなことになるのならば、もう二度とテープの在庫チェックは怠らない、と心に誓った。
「……」
スポーツショップで無事、お目当ての品々を購入して学校へ戻っていた途中。
いつもならば通り過ぎるだけの公園の前で足が止まった。
「(…あの木陰、涼しそうね)」
日陰が一切ない道をひたすら進んできた私には、少しでもいいから休みたい、という気持ちが沸いてくる。
残念ながらあのバスケ部には、私の戻りが遅かろうと気にするような人はいないし、早く戻ったところで、また多くの仕事を言いつけられるのは目に見えてわかっている。
「少しくらい…いいわよね…」
私は自転車を降り、それを押しながら公園へ入っていった。
木陰のベンチの脇に自転車を止め、近くの自販機で珍しく炭酸ジュースを買った。
「…はあ、生き返るわ」
ベンチに腰掛け、ジュースを喉に通せば、干からびた体が生き返るような心地がする。
「(こうして一人でいると、昔のことを思い出すわ)」
額の傷跡を撫でながら目を閉じる。
そうすれば、まだ皆が笑っていた頃の光景が鮮明に瞼に映る。