第10章 どんな顔をするのかな
となれば、部室を探してみなければ、と私は樋口先輩に一言断って、部室にテープを探しに行く。
「えぇ…嘘でしょう?どうしてないのよ…」
どうしてのくそもない。
在庫の確認を怠っていた私の責任である。
肩を落とした私は、仕方なく部室の棚に仕舞ってあるテーピングの注文票を一枚取り出して体育館へ戻った。
「藍川?どうしたんだ?」
落胆して体育館へ戻ってきた私に、樋口先輩は問いかけた。
「すみません。テープの在庫がないんです」
「えぇ?!まじかよ」
「本当にすみません…」
「いや、全部藍川に任せてた俺も悪いし。気にすんな」
樋口先輩はそう言ってくれるが、そう言うわけにもいかない。
マネージャーの仕事の管理は全て私に任されているのだ。
さらに、私のメイン仕事のテーピングに関しては、どこをどう考えても私が悪い。
「樋口先輩。申し訳ないんですけど、注文票を書いて監督に提出してもらえませんか?」
「いいけど…藍川はどうするんだ?」
「テープが届くまでの間に必要な分を買ってきます」
今の残量から言えば、おそらく持って明日まで。