第10章 どんな顔をするのかな
「前に言ったじゃないですか。従兄の虹村修造ですよ」
「なんだ。そう言うことか」
納得した征十郎は、ストレッチを始めるべく、その場から離れた。
「ってことは、華澄ちゃんのデートのお相手は虹村修造?」
「?そうですよ」
「抱き合ってたのも?」
「はい」
「彼氏じゃねーのか!?」
「そんなのいませんよ」
レオ姉たちは目をパチクリさせて、私を見る。
私も上手く状況を把握できずに、首を傾げた。
「よ、良かったわ…」
「これで今日の赤司の機嫌も大丈夫だな」
「練習三倍って言われたら、どーしよーかと思ったよ…」
「何のことですか?」
安堵の息とともにそれぞれ言葉を漏らす三人に、問いかけても答えてはくれなかった。
他の部員も、どこか安心したような表情を見せる。
その様子に私はますます首を傾げたが、そのまま各自ストレッチを始めてしまった。
「…一体何なの?」
「…フッ」
訝しげに体育館内を見渡す私の隣で、黛さんは小さく笑った。