第2章 聞いてないわ
「…誰にも話していないだろうな」
校門を出たところで征十郎は口を開く。
彼が言っている意味などすぐに理解した。
「あなたの言う通りにしてるわ。私は今アメリカにいることになってるのよ?」
「ならばいい。だが、厄介なのは桃井だ。あいつならばすぐにでもお前を見つけ出すに違いない」
「それなら心配ないわ。さっちゃんに情報収集を教えたのは誰だと思っているの?彼女の目から隠れることなんて簡単だわ」
「そうか」
中学時代だって、元々情報収集も私の仕事だった。
私はそれをさっちゃんに引き継いだだけ。
彼女の手の内は知っているため、それから隠れるなんぞ容易いことだ。
「…どうしてそこまでして私を隠したがるの?」
ずっと聞きたかったこと。