第10章 どんな顔をするのかな
「修ちゃん!」
駅の中から出てくる、懐かしい姿。
思わず私は修ちゃんに抱き付いた。
「…っと、危ねーだろ」
「だって、久しぶりの修ちゃんなんだもの」
「いつも電話してただろ」
「それとこれとじゃ話が違うわ」
約一年半ぶりの修ちゃん。
大分あちらも落ち着いた、ということで一週間だけこちらへ帰ってきていたのだ。
ちなみに、先程まで私に声を掛けていた彼は、修ちゃんに抱き付く私を見て、「男いんのかいっ」なんて言いながら去っていった。
「修ちゃん、身長伸びたの?」
「あ゛あ?測ってねーから知らねーよ。伸びたんじゃね?」
男の子は中高の間が成長期。
見ない間に、修ちゃんはまた身長が伸びていたように思う。
「それより、いい加減離れろ。暑いわ!」
離れろ、と言いながらも、私は修ちゃんに強制的に離される。
「感動の再会じゃない。冷たいわね」
「何が感動の再会だ。久保田たちでも、んなことしてねーよ」
帰国の一週間。
修ちゃんは東京の私の実家に泊まり、久保田先輩たちに会ってきたらしい。
五日間の間、あちらで過ごした後、今日、ここ京都まで私に会いに来てくれたのだ(というより会いに来させた)。