第10章 どんな顔をするのかな
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国体の近畿予選を間近に控えた今日。
練習は午前中のみ。
明日も練習はあるのだが、珍しくお休みを貰った。
明日の休みを貰うために、征十郎からまた条件を課せられたが、それもやりのけた。
そこまでして私が休みたかった理由。
「あら、華澄ちゃん。今日は早々と帰るのね」
片付けも普段より早く終わらせて、着替えもとっくに済ませた。
校門を出て行こうとしたところで、五将の三人と会った。
「この後、用事があるんです」
「へぇー。デート?」
「そんなとこです」
「「「…えっ?!」」」
コタちゃんは何となく聞いたつもりだったのだろうが、私がそれを肯定すれば、三人は声を合わせて驚く。
「デートって、藍川…まさか赤司か?!」
「違います」
永ちゃんの問いかけに、私は間髪入れず否定。
というより、何も知らないとは言え、傷をえぐるようなことを言わないでほしいもんだわ。
「じゃ、じゃあ誰なの…?!」
レオ姉は焦ったような表情を浮かべて、私に再度問いかけた。
コタちゃんと永ちゃんも、レオ姉同様の表情で私を見る。
「内緒です」
それだけ言って、私は早足で校門を出て、京都駅の方まで急いだ。
「(まあ…正直なとこ、デートってわけじゃないのだけどね)」